下肢静脈瘤の治療について

◆治療法
 下肢静脈瘤の治療には「保存的療法」・「血管内治療(カテーテルによる高周波焼灼術)」・「手術療法(結紮術・ストリッピング術)」があります。
 当院では以下の全ての治療方法が行えます。血管内治療は最新の治療で、治療成績も良く傷跡も小さくて済むメリットがあります。
 それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあり、また静脈瘤のタイプや患者さんの状態によって適した治療方法があります。
 患者さんの状態・環境・意向や静脈瘤の状態に応じて治療法を選択・併用致します。

圧迫療法
(保存的療法)
治療法
伸縮性の強い医療用の弾性ストッキングを履くことで拡張した血管を圧迫して、下肢に血液が溜まることを防ぐ方法です。
 静脈内の余分な血液を減らし、深部静脈への流れが促進され、下肢全体の血液循環が改善されることで、だるさや足がつるなどの症状が緩和されます。
 妊娠中・仕事の都合などで手術ができない時、軽症例や手術後早期に行われます。
メリット  弾性ストッキングを着用するだけですので、簡便で費用があまり掛かりません。
デメリット  下肢静脈瘤の進行防止・現状維持が目的であり、下肢静脈瘤そのものを治療するわけではありません。
 夏場の蒸し暑さや窮屈さを感じる場合があります。
硬化療法
(外来治療)
治療法  静脈血管内に硬化剤と呼ばれる薬剤を注入して血管を硬化させて、静脈瘤をつぶして消失させる方法です。
 比較的細い静脈瘤に有効な治療法です。
メリット  手術のような傷跡が残らず、体への負担の少ない治療です。
デメリット  患部が落ち着いてくるまでは色素沈着やしこりが残る場合があります(時間の経過と共に少しずつ消失します)。
 不全状態の静脈弁が残っている場合には、再発しやすい欠点があります。
高周波焼灼術
(血管内治療法)
治療法
 弁不全のある静脈にカテーテル(細い管)を挿入していきます。
 カテーテルの先端から出される高周波(ラジオ波)によって血管の内側から熱を加えて焼いてしまいます。
 焼いてしまった血管は閉塞して硬くなり、やがては吸収されます。
メリット  根治療法である従来のストリッピング術と同等の治療成績とされています。
 傷跡はカテーテルを挿入する部分だけのため、小さめの傷跡で済みます。
デメリット  高周波焼灼術では治療できない部位もあるため、場合によっては別の治療法を組み合わせることがあります。
 他の方法に比べて少ないものの、術後の痛み・皮下出血などの後遺症の可能性もあります。
高位結紮(けっさつ)術
(手術療法)
治療法  弁不全のある静脈と深部の静脈が合流する部位を糸で結紮して(縛って)血液を流れなくするようにし、血液の逆流を食い止める手術です。
 高位結紮(けっさつ)術のみでは再発率が高いため、硬化療法と併用されることが多くあります。
メリット  切開するのは結紮部位の2〜3cmほどのため、手術療法ではありますが、比較的小さな傷跡で済みます。
デメリット  結紮療法単独では再発率が高いため、硬化療法との併用をします。
 日帰り入院が必要となるため、1日掛かりの治療となります。
ストリッピング術
(手術療法)
治療法  下肢静脈瘤の根治的な治療法として古くから行われている手術です。
 足の付け根や膝などの皮膚を2〜3cmほど切開して、そこから血管内にワイヤーを通して弁不全を起こしている血管を引き抜いてしまう手術です。
メリット  弁不全のある静脈を引き抜いてしまう根治療法のため、再発率の低い治療法です。
デメリット  日帰り入院が必要となるため、1日掛かりの治療となります。
 術後に、皮下出血・神経障害などの後遺症を伴う場合があります。

 

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