高血圧

◆血圧とは?
  血液が血管内を流れる時に、血管の壁にあたる圧力のことです。
  血圧は、心拍出量(1度の心拍で心臓から送り出される血液量)と血管の抵抗(血管壁の硬さ)が増すと高くなります。

最大血圧  最小血圧

最大血圧(収縮期血圧)
 心臓が収縮して全身に血液を送り出すとき、血管に加わる圧力は最大となる。
 このときの圧力を最大血圧という。

最小血圧(拡張期血圧)
 心臓が拡張して全身に送り出した血液が心臓に戻るとき、血管に加わる圧力は最小となる。
 このときの圧力を最小血圧という。

  

◆高血圧とは?
血圧が高い状態が続いてしまう病気です。
高い血圧は血管や心臓に強いストレスを与えます。
その状態が長く続くと、動脈硬化を引き起こし、血管や心臓に大きなダメージを与えます。
高血圧は、目立った自覚症状はありませんが、頭痛めまい肩こりむくみ動悸などを覚えることがあります。
  
「痛い」「苦しい」などといった直接の症状が少ないため、なかなか実感がわきにくい病気ですが、脳卒中や心筋梗塞などの重大な疾患を起こす危険性を確実に高めてしまいます。
そういったことから、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれています。

  

◆高血圧の原因
  高血圧には、二次性高血圧と本態性高血圧の2つの種類があります。 

@二次性高血圧
  腎臓の異常、心臓や血管の異常、内分泌系の異常などが原因となって起こります。
  その原因となっている病気をきちんと治療することで血圧は下がってきます。
  ただし、発見が遅くなると、本態性高血圧よりも悪い経過をたどる場合があります。
A本態性高血圧
  高血圧の90%以上を占めるとされ、生活習慣と遺伝的な体質の両方が関係していると言われています。
    主な原因   
   塩分の摂りすぎ
   飲酒
   喫煙
   肥満
メタボリックシンドローム
過労
ストレス
運動不足

  

◆高血圧を放置してしまうと・・・
  @脳血管の病気
     ある程度の高血圧が長い年月続くと、動脈硬化が進んで脳の動脈が硬くなり、脳出血脳梗塞を起こすことがあります。
  A心臓の病気
     高血圧が長く続くと、心臓に流れ込む血液の高い圧力に打ち勝つために、心臓はどんどん血液を送り出そうとします。
     結果、心臓の筋肉が徐々に厚くなり、心臓は次第に肥大していきます(心肥大
     心肥大になると、血液を押し出す力がさらに強くなるため、高血圧はさらに悪化することになります。
     高血圧は、心臓に酸素を送る「冠状動脈」にも影響を与えます。
     高血圧が続いたり、動脈硬化が促進されると、冠状動脈の流れが悪くなり心臓に十分な酸素が行き渡らなくなります。
     それにより、狭心症心筋梗塞などの虚血性心疾患を引き起こし、命にかかわってきます。
  B腎臓の病気
     腎臓は血液中の老廃物をろ過する役割をもつ、細い血管が密集した臓器です。
     高血圧によって血管にダメージを受けると、腎機能が低下し血液を正常にろ過することができなくなります。
     そのため、静脈瘤慢性腎臓病CKD)腎不全などを引き起こします。
     腎機能が悪化すると、人工透析や腎移植が必要になってしまいます。

 

◆高血圧の予防と生活習慣の改善
食事療法
 @減塩を心掛ける
   食塩は、1日男性は10g未満、女性8g未満、高血圧の方は6g未満。
 A便秘を解消する
   排便時にりきむことで血圧は上昇します。
   緑黄色野菜や繊維の多い食品をたっぷり食べましょう。
 Bバランスのよい食事をとる
   6つの基礎食品をまんべんなく、1日30食品を目標にしましょう。
   カリウムやカルシウムは十分にとりましょう。
1群:魚・肉・卵・大豆・大豆製品 4群:淡色野菜・果実
2群:牛乳・乳製品・海藻・小魚類 5群:穀類・いも類・砂糖
3群:緑黄色野菜 6群:油脂類・脂肪の多い食品
 C体重をきちんと管理する
   脂肪の多い食品を避け、糖分の摂り過ぎに注意する。
   アルコールは控えめにする。
運動療法
 適度な運動によって、血液の循環が活発になり、血管が丈夫になります。
 @有酸素運動
   ウォーキング・自転車・水泳などの有酸素運動が適しています。
 A強すぎる運動は逆効果
   ウォーキングはニコニコペース(笑顔で話しながら歩けるペース)で十分です。
 B継続は力なり
   無理はせず、毎日30分、週に2回以上、1年以上は続けましょう。
  ※高血圧の方は医師に相談し、その指導の下に行うようにしましょう。
心と身体の休養
 精神的なストレスは血圧を上昇させます。
 また、ストレスによってタバコやアルコールの量が増えてしまうと、さらに血圧は上昇します。
 @十分な睡眠をとる
   十分な睡眠は、血圧を安定させます。
 A休養と仕事のバランスをとる
   過度な肉体労働と精神的なストレスは高血圧の要因になります。
 B1日30分は、ゆとりのある自分の時間を持つ
   精神的なストレスは溜め込まず早めに解消し、心にゆとりを。
その他、生活習慣で気をつけること
 @急激な温度差に注意する
   急激な温度差(外出時・入浴時など)は血管を収縮させ、血圧を上げます。
   急に寒いところに出たり、熱いお風呂に入ることは避けましょう。
 A重いものを急に持ち上げる
   急に力を入れると、心拍数が上昇し、血圧が上昇します。
 B禁煙(節煙)を心がける
   タバコは血管を収縮させ、動脈硬化をすすめます。
   

 

◆血圧の自己管理
血圧は、時間や環境によって変動し、常に一定ではありません。特に、診察室では緊張したり、通院での運動が影響して血圧が上がる傾向があります。
  白衣高血圧・・・診察室で血圧が上がってしまう状態
  早朝高血圧・・・朝の起床時に血圧が上がってしまう状態
  仮面高血圧・・・診察室では正常だが、日常生活(職場や家庭など)で血圧が上がってしまう状態
診察室以外の場所で血圧を測定することで、これらの高血圧を正しく診断することができます。
特に、仮面高血圧は見逃されやすいので、家庭での血圧測定が重要となります。


  

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